ワインの大好きなG先生とワインの隠れ家へ。
まずはグラスシャンパンで喉を潤し、さて本日のとっておきの赤ワインをと云うときのこと、隣の席の女性が白ワインを次から次へとわたしたちにプレゼント。 その日、彼女は特別に気分が荒れているとのこと。 わたしとG先生はいたし方なく白ワインのおつきあいを。 聞けば彼女はニュージーランド人に嫁がれて、ニュージーランドに在住。 住んでみれば退屈な国で、暮らしてみれば退屈なご主人とのこと。 ぼやくのぼやくの。 倉敷にいらしたお父さまが亡くなられ、葬儀のために帰国され、明日は退屈なニュージーランドに帰られる前日でした。 ひょいと彼女の横顔を見つめると、肌の透き通るように美しい人でした。 思わず秘訣を伺いました。 後日、彼女から手作りの石鹸が送られてきました。 いえ、それよりもお手紙が。お手紙とともに「お試しあれ」とカードが。 でも探してもプレゼントはなく、おそらく彼女はそそかっしい人で、カードだけ送ってプレゼントを忘れられたのかなぁと思いつつ、そうこうしていると、たまらなくいい香りが纏いつき…。 封から落っこちた、小さな石鹸が机の隅にちょこんと転がっていました。 それは美しくなれる魔法の石鹸でした。 ラベンダーのたまらないほど切なくて濃厚な香りと、纏いつくような粘り気のある泡を生む、ニュージーランドの水の純粋さが、その石鹸の秘密だそうです。 ぼやきつつ生きていても、媚薬のような石鹸を丁寧に手作りしている遠い国の彼女。 きっとニュージーランドの水も、ご主人も、なにもかもを愛そうと努力されているのでしょう。 ふとしたことから出会ったゆきずりの人であろうと、その人を人生の印象に残すことが、人にはあります。 それはきっと旅の印象と似ているのでしょう。 手作りの人生をと願う新年の一日…
by nomelier
| 2005-01-06 17:29
| Diary
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