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マドンナ

b0058500_1847435.jpg上映期間中に観られなかった黒木和雄監督の「父と暮せば」をDVDで観ました。

井上ひさし氏の戯曲を映画化された作品です。

黒木監督には昨年、某所でご講演いただき、あらためて鑑賞していると、お人柄がふたたびじんわりと伝わってきました。

父と娘が思い出すクライマックスのシーン。父は広島でまともに被爆し、横にいた娘に自分をおいて、「逃げろ、逃げろ」と言いました。

娘は後ろ髪をひかれながらも逃げました。

そのことを娘は今も悔いていて、自分だけが生きていることを恥ずかしく思っています。

戯曲から映像へ。

この父が「逃げろ、逃げろ」というシーンを回想にすることはありがちでしょうが、INGの演技だけで撮られていました。

実際に多くの方が体験された被爆。回想にすることは、可能です。
でも、安易です。そのシーンを観ていると、涙がとまらなくなってきました。

木下恵介監督の「カルメン故郷に帰る」を観ました。

ご存じ、日本で初めてのカラー映画です。

田舎の駅に列車が着き、降りてきたストリップダンサーのカルメンと女友だち。
二人とも肌もあらわな極彩色の衣装。村人たちは沈んだ色調の野良衣装。
色彩だけでいかにカルメンがこの村で問題を起こすのかが伺い知れ、これから映画をワクワクして観ていける期待感でいっぱいにさせてくれます。

テレビがカラーになった時代には、アニメをカラーで観られるワクワク感に多くの子どもたちが包まれました。
技術の進歩は人に夢を与えるけれど、人を壊しもする。
そして、にわかづくりは、人を壊していく。

テレビで選挙の女性候補者を見ていると、そんな風に思えてきました。

刺客と呼ぶ方も呼ぶ方ですが、テレビ映りのための衣装や口紅のカラー選びに余念のない彼女たち。

ロック歌手のマドンナは格好いいけれど、やれやれといった気分になります。

人が壊れていきそうななかで、壊したくない気持ちはだれが埋めるのでしょう?
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by nomelier | 2005-09-01 20:37 | Diary