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悪友

b0058500_1423030.jpg先日、故倉田先生の七回忌偲ぶ会を有志でいたしました。

お寺でお参りを済ませ、会食のお店へ。

思ったよりも道のりはながく、夕暮れの道を黙々と列をなして歩きながら、心のなかでは当時のシナリオへの思いをそれぞれが反芻しているかのようでした。

漸く会場に着き、ひとまず乾杯。

センターと、倉田先生との出会いを語るスピーチへ。

それが、なんと、センターとの素晴らしい出会いという内容よりも、「うさんくさいと思った」というスピーチ連続。

「素晴らしい学校」というよりも、「こんな変な学校はない!」という意見も。

そう仰ったOさんはおん歳九十二歳。人生経験ご豊富なOさんがつくづくそう思われるのですから、本当の本当に変な学校なのですよね!

変な、とか、うさんくさいとか言いながら、こんなに長いあいだ、家族のようにしてセンターでシナリオを勉強しているわたしたち。どんな褒め言葉よりも、この世にひとつきりの、信頼の言葉ですね。

昔、高校時代の恩師から、ともに真面目に勉強した友人よりも、ともに悪いことをした悪友とは、ながく交友をあたためられる、と教えられました。

わたしはその教えが大好きで、最近、恩師に、 「先生は昔、こんなことを教えてくださいましたね」とお手紙を書いたのですが、このようなお返事をいただきました。

「悪しき友こそ尊べ。いいことは誰でも誘える。悪いことを誘いかけるのは余程の信頼がなければできない。だから悪友というのは本当に自分を信頼し、深い人間関係を保ってくれている。だから悪友は大切。悪友と交じり合った自分を顧みて言ったんだな」と…。

本当にいい先生です。

わたしはセンターで、かけがえのない悪友を得ました。

ステキな家族でもあります。そして知らず知らずのうちに、尊んでいることを実感します。

ともにシナリオの悪友でいましょう!
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by nomelier | 2006-12-20 14:00 | Diary

ニーナ

b0058500_13584273.jpg「わたしはもうほんものの女優で、楽しみながら、うっとりしながら芝居をして、舞台に立つと酔ったようになって、自分がすばらしいと感じるの。……日ましに精神力が成長していくと感じたりするわ。……わたしたちの仕事で大事なものは――舞台に立つにしろ、ものを書くにしろ同じことなのよ――名声でも栄光でも、わたしの夢みていたようなものでもなくて、忍耐力だということがねえ。おのれの十字架を荷うすべてを知り、そして信ぜよ。わたしは信じているわ。だからそう辛くもないし、自分の使命を思えば、人生がこわくないんだわ」

チエホフの「かもめ」のニーナのセリフ。

わたしたちにとって、瞼の奥が痛くなってくるのは、「舞台に立つにしろ、ものを書くにしろ同じことなのよ」の――「ものを書く」というフレーズです。

ウクライナの女医さんの、バレンティナというガールフレンドがいます。

彼女は長年、日本に住み、とても苦労されています。

でも、大地にしっかり根をおろした、本当に日本人にはない、ボルシチのようなあたたかみを感じさせる人です。

彼女の澄んだ美しい瞳から、このニーナのセリフを思い浮かべました。

先のセリフの前に、

「わたしなんか殺されたっていいのに。わたし、へとへとだわ!……わたしはかもめよ……。いいえ、そうじゃない。わたしは、女優だわ。……あの人は芝居というものを信じないで、いつもわたしの夢を笑っていたわ。で、わたしもだんだん信じられなくなって、気落ちしてしまったの……。そこへ恋の苦しみ、嫉妬、絶え間ない赤ん坊の心配……。わたしは取るに足らない人間になって、でたらめな演技をしたわ……」

と、ニーナは彷徨うように過去を語ります。

お芝居をする人の、ものを作る人の、孤独との戦い、決意を、彼女を愛してくれる男性への決別の言葉へと、物悲しく、つなげて……
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by nomelier | 2006-12-15 13:56 | Drama