奈良時代は梅だったそうですが、桜への好みが定着していったのは平安時代になってからのこと。 江戸時代には桜の、「満開の美学」と「落花の美学」が、日本的な精神を顕すものとして好まれたそうです。 桜の花言葉は「精神美・優れた美人」。 梅の花言葉は「高潔・上品・忍耐」。 どちらの花が好きですか? 日本の花と言われるだけあり、桜は誰しもが好ましく思える花ですね? 特に今年のようにいつまでも寒かった冬、日々の雑事に追われて自然とは遠い処であくせくすごし、ようやくそんななかで花冷えもすぎ、ふと突如、満開の桜に視界が奪われたときのカタルシス。なんとも言えない幸福感です。 私の好きな作家、宇野千代さんは、ご高齢になられるまで、パーティの席で桜の模様の振袖をお召しになっていました。多くの人に愛されている桜の模様の振袖を、オーラの気合いで着こなしてしまう格好いい精神性こそ、桜そのもののステキな作家でした。 宇野千代さんの小説では、「おはん」が一番好きです。 主人公、おはんは、梅の花のような女性だと思います。奥ゆかしい忍耐から芳しくのぼりたってくる情念。ぱっと咲き、潔く散りはしないけれど、静かに静かに情念を燃やし続け、そして、広い心で人を許す観音様のような微笑をも浮かべられる女性。この小説に登場する、もう一人の女性、おかよは、経済力もあり、この小説の語り部である男、「私」を養っているにも関わらず、「男がいなければ生きていけない」と、勝気な彼女は言い切り、あでやかでゆたかな焔で男を手放すまいと甘えます。 ある文章で宇野千代さんは、この小説に登場する、おはん、おかよ、二人の女性に翻弄される男「私」、この三人ともがご自身に内在していると書かれていました。 だからこそ、この三人の物語は読み流せはしません。 桜のような女。梅のような女。どちらが好きですか? どちらが描いてみたいですか?
by nomelier
| 2006-04-12 19:46
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